Advance/NeuralMDは、Neural Network力場に基づいた分子動力学計算のソフトウェアです。
Quantum ESPRESSO にて出力された第一原理計算の結果を教師データとして、分子力場を作成します。この力場を利用して、 LAMMPS にて分子動力学計算を実行します。自己学習ハイブリッドモンテカルロ法による力場の自動生成、10万原子系の計算を可能にするGPUでの高速化など、様々な最新鋭の技術を搭載しています。また、事前に作成済みの力場データベースも用意しています。
Advance/NeuralMDの特長
(1) 3G-HDNNPをベースとした力場定義
Advance/NeuralMDに実装されたNeural Network力場はHigh-Dimensional Neural Network Potential (HDNNP)をベースとしてもので、各原子の電荷による長距離クーロン相互作用を考慮した第3世代アルゴリズム(3G-HDNNP)が利用可能です。さらに、当社が独自に開発したΔ-NNP法や複数Neural Networkモデルの平均値を用いる手法を併用することで、比較的に少数の教師データで安定した力場を作ることができます。これらの手法を適用した、リチウムイオン伝導体の伝導率計算や核燃料材料の融点解析の事例があります。
(2) Advance/NanoLaboからの操作
教師データの作成、ニューラルネットワークの学習および力場生成、分子動力学計算の実施まで、全ての工程をAdvance/NanoLaboの画面から操作可能です。グランドプロジェクト(右図)にて多数の教師データ等を管理しつつ、作業を進めることができます。また、教師データ作成においては、第一原理計算を複数の計算リソース(計算サーバーやクラウドなど)に分散させることも可能です。
(3) 自己学習ハイブリッドモンテカルロ法
自己学習ハイブリッドモンテカルロ法は、日本原子力研究開発機構により開発された第一原理モンテカルロ法のアルゴリズムです。モンテカルロ法における提案構造としてNeural Network力場による分子動力学計算のトラジェクトリーを適用することで、モンテカルロ計算自体については第一原理の精度が保証されつつ、効率的な構造のサンプリングが実現できます。モンテカルロ計算の実行と同時に、各構造で計算された第一原理計算の結果を利用してNeural Network 力場の学習についても並行して実施されます。その結果、当該手法を実行すると対象とする系に特化したNeural Network力場が自動生成されることになります。
(4) GPUによる高速化
Advance/NeuralMD ProはGPUでのニューラルネットワークの学習および分子動力学計算に対応しています。MPI並列との併用も可能で、複数のGPUを搭載したマシン and/or GPUを搭載した複数のマシンノード にも対応しています。GPU1デバイス当たり2~4つのMPIプロセスを起動することで、GPUとCPU双方の稼働率を常に高い状態に保持できるように設計されています。計算コストの高い対称関数および力の計算をGPU化しています(左下)。32基のGPUを用いて、約10万原子系の分子動力学計算を約260倍高速化することに成功しています(HPCシステムズにご提供頂いた計算機環境を使用)。
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